まなびリスの部屋

主に読んだ本について語ります。

影響力の武器:カチッ・サー

カチッ・サー

動物の多くの種で、規則的で盲目的で機械的な行動パターンが確認されており、それを固定的動作パターンと呼ぶ。

その様子はまるで動物の中にいくつかの行動パターンを録音したテープが入っているかのように見える。「カチッ」とボタンを押すと、その場面に適したテープが動き出し、「サー」とテープが回って一定の標準的な行動が現れる。

ボタンは大抵の場合、信号刺激と呼ばれるたった一つの要素によって押されることになる。

 

この信号刺激を用いれば、その動物を騙してその場にそぐわない行動をとらせるのは簡単である。しかし、多くの場合この信号刺激はとてもうまく機能することと、人間にもそれが備わっていることを忘れてはいけない。

 

例)

・何か頼み事をするときに「〜ので」と理由を付け足すと通りやすい。この際、内容は理由になっていなくても通りやすさはほとんど変わらない。

・高価なもの=良質なもの

・専門家が言うなら、正しいに違いない

 

現代において、思考の近道は必需品である

現代は科学技術の驚くべき発展により、情報が溢れ、選択の幅が拡大し、知識が爆発的な勢いで増加している。また、人々が重要視する問題はますます多様かつ短命となる。私たちはより速いスピードで旅をして、より頻繁に家を住み替え、より多くの人とより短い関係を築くようになった。

これほど急速に変化し、複雑に入り組んだ環境では、すべての特徴を理解し分析することは不可能である。私たちには、そうする時間も、エネルギーも、能力もないのである。

そのため、どうしてもステレオタイプや経験則に頼らざるを得ない。

 

・日常で判断を行う際に私たちが使う心理的な思考の近道を判断のヒューリスティックと言う。

・「カチッ・サー」反応とは対照的に、すべての情報を十分に分析した上で反応する傾向はコントロールされた反応と呼ばれる。

 

参考:影響力の武器[第三版] なぜ、人は動かされるのか