まなびリスの部屋

主に読んだ本について語ります。

影響力の武器 読んだ感想

分厚いし文章量がえぐいので圧倒されるけど、割と初心者でも理解しやすいように書かれている印象を受けた。忍耐力があれば読み切れる本。

詐欺の手法を心理学的な原理に則って解釈し、対策をするのが主旨。

具体的な物語が多く挿入されているので、物語っぽく楽しんで読める部分も多い。

ぼくとしてはすでに知っている情報も多かったが、ここまで具体的にイメージできるような形で書かれている本は読んでなかったので、理解を深めるのにとても役立ったと思う。

設問に回答例がなかったのでちょっとモヤモヤした。

影響力の武器:返報性

返報性のルール

私たちの身の回りにある様々な影響力の武器の中でも最も強力な武器。らしい。

このルールは、「他者がこちらに何かの恩恵を施したら、自分も似たような形でお返しをしなくてはならない」というもの。

この返報性は人間社会・文化に広く浸透しており、アルビン・グルドナーなどの社会学者は、すべての人間社会がこのルールを採用していると報告している。

 

なぜ返報性のルールはそれほど強力とされるのか

私たちが今日人間的でありうるのは、祖先が食糧や技能を「名誉ある恩義のネットワークの下で」共有してきたからであり、この人類特有の適応メカニズムである「恩義が織りなす織物」によって、人々の労働が分担され、多種多様な物やサービスが交換され、個々人を高度に能率的な集団へとまとめ上げる相互依存性が生み出されたとされる。

よって、そのような形での社会進出に不可欠なのが、受けた恩義に将来必ず報いなければならないという義務感である。

他者へ与えたものが決して無駄にはならないと確信できることで、取引などの先に与えることから始めなければならない行為に対しての心理的抵抗感が減るのである。

 

人間社会は返報性のルールから非常に大きな利益を得ているため、人間社会はその成員がこのルールを遵守し、信じるように教育しようとする。また、ルールを守らない者には社会的制裁や嘲笑が与えられる。

社会的動物にとって群れからの追放は死を意味するので、私たちは「たかり屋」とか「恩知らず」とか言われないように一生懸命努力するのである。

 

意外なことに、返報性のルールを反対の方向に破る人(与えるだけで、その受け手がお返しする機会を認めない人)も、他者に嫌われる傾向があることが明らかにされている。

 

自分がお返しをできないのがわかっている場合、援助が必要でもそれを求めたがらないことがある。心理的負担は物質的な不利益以上に耐え難いことがある。

 

返報性のルール

・報恩の義務は、小さな恩義では時間の経過とともに薄れ、大きな恩義では極めて長い間生き続ける。

・自分から頼んだかどうかとは関係なく恩義の感情が生まれる。

・「幅」があるため、小さな親切で大きな恩義を返す義務感を与えることができる。

・恩返しへの義務感は最初に手助けを受けた人だけでなく、その人が所属する集団の構成員も感じるもの。恩返しの対象も、その人だけでなく、その人の家族にもなりうる。

・家族や親友などの長期にわたる関係では、純粋な形の返報性は不要であり、また望ましくもない。こうした「共同」的関係で返報性に交換されるものは、相手が必要とするものを必要なときに喜んで提供しようという気持ちである。

・搾取の試みとして返報性を利用する相手には恩義を感じる必要はない。快く受け取り、お礼を言って送り出せば良い。搾取の試みに対しては、搾取でお返しすれば良いのである。

 

具体例

・休憩時間にコーラを奢ってもらったので、その後にチケットの購入を頼まれた際、購入してしまった。

この実験では、相手に対する好感度が高いほど購入枚数が多かった。驚くことに、コーラをもらった際には、好感度と要求を受け入れる割合の相関関係が全くなくなっていた。

・先にプレゼントをしてから寄付を求めることで寄付金を集められたが、一度引っかかった人は警戒し、引っ掛からなくなった。

・伝票にキャンディーなどを添えて渡すことでチップの額がかなり増えた。

・チーズを客に自分でスライスさせて試供品として食べてもらうことで驚くほど売れた。

・家庭用クリーナー等のセット入りバッグを1〜3日ほど家においてもらい、好きに使ってもらう。その後、買いたいと思う商品の注文をとる。→驚異的な効果。

 

「拒否したら譲歩」法

返報性は譲歩でも効果を発揮する。相手が譲歩したので、自分も譲歩しようという気にさせるのである。また、知覚のコントラストによって、後に出した要求をより小さく感じさせることができる。

譲歩には2つの副産物があり、これによって丸め込んで飲ませた要求を実行し、似たような要求を繰り返した際にも、嫌がらずに応じるように仕向けることができる。この二つの副産物とは、取り決めに対する、より大きな責任感とより強い満足である。譲歩は最終的な合意を「取りまとめた」と思わせ、より強い責任感を植え付けた。契約条件の作成に関与した場合、人はその契約をより遂行させようとする。また、交渉相手の譲歩によって合意がまとまると、満足感が非常に高くなる。

 

例)

・セールスを断られたら、興味を持ちそうな知人を紹介してもらう。

・五ドル借りたいときに、先に十ドル貸してくれと頼み、その後譲歩する。

 

政治の世界における返報性のルール

・政治の上層では、公職に選出されたものたちが、選出されたと同時に「なれあい政治」を始める。恩恵を施したり受けたりするので、政治の場は、奇妙な形で馴れ合う人々が集まる場所になるのである。議員が想像もしなかった法案等に票を投じるのは、法案提出者に対する恩返しで行っている可能性がある。

・政治の世界の下層でも返報性は威力を発揮する。法廷関係者や法律を制定する議員にプレゼントを届けたり、恩を売ろうとする企業や個人の存在と、それを制限するいくつもの法案、重要な選挙で対立している二人の候補者のどちらにも献金を行う会社や組織を調べると、その影響力の大きさは一目瞭然である。

30万ドルの政治献金に対する十分な見返りはあったのかと言う質問に対し、ロジャー・タムラズは「次は60万ドル献金しようと思っていますよ」と答えた。

 

心臓病の治療薬の使用を支持する研究結果を発表した科学者は全員が製薬会社から何らかの援助(接待旅行、研究助成金、雇用など)を受けていたのに対し、批判的な研究者の中で援助を受けていたのは37%であった。

AP通信の取材によると、多額の献金を受け取った議員が、選挙キャンペーン中に最も多額の寄付を行った団体の意に沿う形で法案に投票する確率は、そうでない議員の七倍以上に上る。結果として、当時の連邦議会議員の83%がこうした特別利益団体に有利になるような投票を行った。

 

参考・引用:影響力の武器[第三版] なぜ、人は動かされるのか

 

影響力の武器:カチッ・サー

カチッ・サー

動物の多くの種で、規則的で盲目的で機械的な行動パターンが確認されており、それを固定的動作パターンと呼ぶ。

その様子はまるで動物の中にいくつかの行動パターンを録音したテープが入っているかのように見える。「カチッ」とボタンを押すと、その場面に適したテープが動き出し、「サー」とテープが回って一定の標準的な行動が現れる。

ボタンは大抵の場合、信号刺激と呼ばれるたった一つの要素によって押されることになる。

 

この信号刺激を用いれば、その動物を騙してその場にそぐわない行動をとらせるのは簡単である。しかし、多くの場合この信号刺激はとてもうまく機能することと、人間にもそれが備わっていることを忘れてはいけない。

 

例)

・何か頼み事をするときに「〜ので」と理由を付け足すと通りやすい。この際、内容は理由になっていなくても通りやすさはほとんど変わらない。

・高価なもの=良質なもの

・専門家が言うなら、正しいに違いない

 

現代において、思考の近道は必需品である

現代は科学技術の驚くべき発展により、情報が溢れ、選択の幅が拡大し、知識が爆発的な勢いで増加している。また、人々が重要視する問題はますます多様かつ短命となる。私たちはより速いスピードで旅をして、より頻繁に家を住み替え、より多くの人とより短い関係を築くようになった。

これほど急速に変化し、複雑に入り組んだ環境では、すべての特徴を理解し分析することは不可能である。私たちには、そうする時間も、エネルギーも、能力もないのである。

そのため、どうしてもステレオタイプや経験則に頼らざるを得ない。

 

・日常で判断を行う際に私たちが使う心理的な思考の近道を判断のヒューリスティックと言う。

・「カチッ・サー」反応とは対照的に、すべての情報を十分に分析した上で反応する傾向はコントロールされた反応と呼ばれる。

 

参考:影響力の武器[第三版] なぜ、人は動かされるのか

 

 

精神科もいろいろだよねって話。

バランスだいじ。とても。

 

一般の人向けの精神医学の話。

精神科医が自分で使う用の辞書的なものとして書かれたんじゃないかなって印象。

一つ一つは読み切れる文章量で手に取りやすいし効果も大きいと思う。

職場にいる困った人の背景と対処法なんかにも言及している。

読み物としても面白いけど文章的に少し読みにくさもある。

 

疑心暗鬼MAXみたいな本。体験とか内側の人の話、過去の話とか、実際にあるんだろうなと思う。アンチテーゼとしてとても好き。バランスって大事だよね。。読み物としても面白い。

 

とても面白い。そしてえぐいほど深く詳しく書いてある。一般人には必要ないレベルだけど、どうしても知りたくて仕方ないみたいな人にはおすすめ。最初に手に取るには向かない。

確か精神科医が他の医師や医療従事者に向けて書いた本で専門用語をためらいなく使ってくる。

 

愛着スタイル書いてあった気がする。

前に愛着スタイル大事!!って書いたんですが、その時の参考文献はそこまで具体的に触れてないんですよね。記憶があやふやだけど、愛着スタイルならこの本だった気がします。

そのうち読み直して確認しようと思います。

 

文章的には読みやすいし、細やかな感情を読み取るのが苦手な方、空気がわからない方なんかにもおすすめです。よかったらどうぞ

 

「夫婦・カップルのためのアサーション」野末武義著

 

話が合わない!そんな時のつよつよスキル「課題解決の5階層」

会議やその他のシーンで話が噛み合わない時ってありますよね。

個人的にこれをマスターしたらめちゃくちゃ強いなって思ったスキルです。

課題解決の五階層
  • 下の階層で意見が一致していないと上の階層では絶対に意見が合わない!!
  • 課題解決型(↔︎情報共有型)の議論がごちゃごちゃしたり混沌とするのは8割方この階層のズレが原因!!

 

そもそもの課題の捉え方が違うとか、どうなったらOKかとか、色々な前提がごちゃごちゃのまま話が続いて何も進まずに時間だけが進んでくことってありますよね…。

 

うまくまとめられなかったので、また後で直そうと思います。

よかったら本読んでください。

 

参考:「世界で一番やさしい会議の教科書」榊巻  著

 

出口調査をした時の話

出口調査では案外アンケートが集まらないらしい。

僕がアルバイトした時には雨も降っていたし、一般には難しい条件だった。

 

効果があったと思う工夫

・雨だったので屋根のある場所で活動していいか許可を取る。

・入り口で大きな声で笑顔で挨拶する。→警戒心を薄める。

・新聞名を名乗ると新聞の勧誘だと誤解されて逃げられるので、「出口調査にご協力ください」と声をかける。(投票の一環であるかのような雰囲気を出す)

・バインダー2個をフル稼働で時短を狙う。

・出てきた人の真正面にサッと入り声をかける。→話を聞いてもらいやすい。

・ちなみに子連れや若い人の方が意外にも協力してくれやすかったです。子供や連れの前ではいい人を演じようとするのかな?

 

まあちょっと強引なのとその場限りなのでおすすめはしません。

 

全ての時間でノルマ達成したら普通はそんなに集まらないと驚かれました。

僕は自分で営業系苦手だと思ってただけで、練習すれば案外いけんじゃないかと思った経験です。

 

営業って、話が上手い必要がないらしいんですよね。

相手の困っていること、ニーズを聴き出して、それに合わせて、「それならこの機能がおすすめです」とか、そういうタイプの方が意外と売れるんだとか。

僕はそういうタイプの営業方法なら伸ばせるかもなぁと思いました。

人間嫌いなのでやりませんが。